第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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口蓋扁桃摘出術は耳鼻咽喉科医が最初に習得する手術手技の一つであり,術者が経口腔的に直接術野を見ながら単独で行うのが今までは一般的であった.今回われわれは,VITOMカメラシステム(STORZ社)を用いてモニター下に口蓋扁桃摘出術を経験したので文献的考察を加え報告する.
VITOMとはVideo Telescopic Operating Microscopeの略で,従来の内視鏡(Endoscope)とは異なり,挿入自体を行わないいわゆる“外視鏡(Exoscope)”とも呼ばれるものである.実際には,VITOMテレスコープを普段から使用しているKarl-Storz社のハイビジョン内視鏡のHDカメラヘッドに取り付け,専用の可動式アームで手術台に固定し,映像をハイビジョンモニターに映し出すことで視野を確保する.焦点距離は約20センチであり,口腔内に挿入する必要がない.手術は全身麻酔下で患者の体位は一般的な懸垂頭位で行い,手術操作部位を随時モニターに映して術者以外にも複数人でその映像を見ながら手術を行った.本システム下での口蓋扁桃摘出術の長所は術野が鮮明にモニターに映し出されるために,被膜の剥離や血管処理などの操作をより繊細に行うことが可能であること,複数の医師が同時に手術操作を鮮明な画像として確認することができ手技の指導が容易になるということ,映像として保存できるため後日手技の確認が可能,などが挙げられ,短所は術野付近に硬性鏡があるために視野や手技の妨げになる,モニター下の手術に慣れていないと逆に操作に手間取る,いったんカメラを固定してしまうと動かしにくい,などが挙げられた.とはいうものの本システムを導入することで,術者は助手や医療従事者と手術状況を共有することができ,手技の指導の際にはより詳細に行うことが可能となる.全体的に見ても有用な方法であると考える.

2016/06/23 17:30〜18:06 P25群

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