第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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成人Still病(adult onset Still’s disease)は,弛張熱,リウマトイド疹,リンパ節腫脹などを特徴とする関節リウマチの類縁疾患である.今回我々は,発熱,咽頭痛が初発症状となった成人Still病を経験したので報告する.
【症例】27歳女性.
【主訴】発熱,咽頭痛.
【現病歴】201X年12月22日から悪寒と咽頭痛が出現し38度台の発熱があった.近医の内科や耳鼻咽喉科で抗菌薬,ステロイドなどを内服している間は解熱していたが内服中止とともに高熱が再燃していた.翌年1月18日に頸部の痛み,嚥下痛が出現し20日から両側下腿の紅斑が出現したため26日,当科初診した.
【初診時所見】体温37.6°C.軽度の咽頭発赤と左頸部の強い圧痛を伴うリンパ節腫大,両側下腿の圧痛を伴う紅斑を認めた.WBC;10.5×103/μl(Neut:77%),CRP;3.05 mg/dl,RF(-),フェリチン143.9 ng/ml(正常値5~157).
【経過】高熱が続くため精査のため入院とした.咽頭所見が乏しく下肢の紅斑が認められたことから膠原病に関連した全身疾患が疑われ内科と併診とした.諸検査の結果,感染や関節リウマチは否定され,成人Still病の診断基準に合致した.入院7日目よりプレドニン100 mg/日から漸減投与を開始したところ速やかに解熱した.同16日目50 mgまで減量し退院した.現在,プレドニン10 mg/日内服にて寛解を得て経過観察中である.
【考察】本疾患は1971年にBywatersが報告した原因不明の疾患である.本邦での有病率は10万人当たり男性0.73人,女性1.74人と推測され好発年齢は16~30歳である.成人Still病は発熱,関節症状,皮疹の3主徴が重要であり頻度も高いが,特異的な所見に乏しく感染症,腫瘍,血管炎,膠原病などを除外することが必要である.咽頭痛を伴うことが多く,抗菌薬や鎮痛解熱剤に反応せず高熱が持続する場合には本疾患を念頭に置く必要があると考えられた.

2016/06/23 17:30〜18:06 P25群

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