第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】頸部リンパ節腫脹は日常診療においてしばしば遭遇する所見である.感染性,腫瘍性,自己免疫疾患など鑑別診断は多岐にわたり,診断に苦慮することも少なくない.今回,当科で確定診断目的に頸部リンパ節生検を行った症例について臨床的特徴について検討したので報告する.
【対象】当科で2013年から2015年までの3年間に頸部リンパ節腫脹に対して生検を行った130例を対象とした.
【結果】男性69例,女性61例,平均年齢66.3歳であった.組織学的診断では,良性42例(反応性リンパ節炎12例,濾胞性過形成11例,結核性リンパ節炎6例,亜急性壊死性リンパ節炎4例,その他9例),悪性88例(悪性リンパ腫60例,転移性悪性腫瘍22例,その他6例)であった.術前に穿刺吸引細胞診を施行した症例は92例あり,悪性疾患における穿刺吸引細胞診での陽性・偽陽性症例の感度は65.3%,特異度は89.7%であった.また,偽陰性17例のうち15例は悪性リンパ腫であった.
【考察】頸部リンパ節腫脹を来す疾患のなかには,穿刺吸引細胞診が陰性であったり画像検査で積極的に悪性を疑わない時でも悪性である場合がある.特に悪性リンパ腫では穿刺吸引細胞診での診断は困難であることが多く,各種検査で少しでも疑いがある場合は積極的にリンパ節生検を検討する必要がある.ただし,転移性悪性腫瘍の可能性もあるため,手術にあたっては入念な準備が必要である.

2016/06/23 17:30〜18:06 P23群

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