第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】亜急性壊死性リンパ節炎は,表在性リンパ節腫脹をきたす原因不明のリンパ節炎であり,主症状は,頸部リンパ節腫脹,腫脹したリンパ節の圧痛,発熱などである.一般的に予後は良好で1~3ヵ月以内に自然治癒することが多いが,ときに再発や遷延・重症化する例,血球貪食症候群を呈するものもある.今回,我々は血球貪食症候群に亜急性壊死性リンパ節炎を合併したまれな症例を経験したので報告する.
【症例】29歳,男性.
【主訴】熱発.
【現病歴】10日前から夜間に38°C以上の発熱があった.6日前に近医受診し解熱薬処方されるも改善なく,当院内科,耳鼻咽喉科を受診された.
【経過】初診時,体温39.3°C,両側頸部リンパ節腫脹と圧痛を認めた.CTにて頸部・腋窩・腹腔内の小リンパ節の腫大,血液検査にて2系統の血球減少と高LDH血症,高フェリチン血症,凝固異常を認め血液内科入院となった.骨髄生検で血球の貪食像が見られ血球貪食症候群と診断された.耳鼻咽喉科にて頸部リンパ節生検を施行し,亜急性壊死性リンパ節炎の診断に至った.
【治療】リンパ節生検後よりステロイドパルス療法を開始した.治療開始後は速やかに解熱し,血球減少や高LDH血症,リンパ節腫脹は著明に改善した.治療開始から14日後に退院し,現在再発もなく経過している.
【考察】血球貪食症候群の基礎疾患として頻度が高いものには感染症,悪性腫瘍,自己免疫疾患などがあり,本症例においても悪性リンパ腫をまず鑑別にあげ,頸部リンパ節生検を行った.その結果,亜急性壊死性リンパ節炎の診断に至った.頸部リンパ節腫脹をきたす疾患は多様であり,診断が困難な症例では積極的にリンパ節生検を行うべきと考える.

2016/06/23 17:30〜18:06 P23群

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