第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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症例は71歳,男性.平成○○年12月7日左顔面筋肉の可動性不良を自覚,12月10日精査加療目的にて当科初診となる.初診時顔面神経麻痺スコアは柳原法にて6/40点,鼓膜は全体に軽度発赤,中耳ターゲットCTでは左鼓室,乳突洞に軟部陰影を認めるも骨折などの所見は認めなかった.左急性中耳炎による炎症が内耳に波及,そのために左顔面神経麻痺を生じたと考えステロイドホルモン(プレドニゾロンコハク酸ナトリウム),抗菌薬(CTRX)の点滴加療およびビタミンB12の内服加療を同日より開始した.平成○○+1年1月7日頃より左前額部の可動性出現,左顔面神経麻痺は2月18日に35/40点まで改善した.平成○○+1年1月7日頃より鼓室内に滲出液を認めるようになった.滲出性中耳炎へ移行したと考え,マクロライド系抗菌剤(CAM),カルボシステイン投与を開始した.1月21日頃より左鼓膜に小穿孔を認めると共に耳漏も出現,局所処置にて対応するも鼓膜穿孔は徐々に増大してきた.3月4日鼓室内肉芽組織を生検した所,周囲にラングハンス型巨細胞散在,乾酪壊死を伴う類上皮肉芽腫を認め結核性中耳炎の診断がついた.その後,結核治療が可能な病院に転院となった.初診から診断まで91日を要した.文献的考察を加えて報告する.

2016/06/23 18:00〜18:36 P22群

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