第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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嗅覚障害は嗅球から嗅覚伝導路に至る障害による中枢性嗅覚障害と,嗅球より末梢で起こる末梢性嗅覚障害とに大別される.そして末梢性嗅覚障害は嗅上皮まで嗅素が到達しないために起こる呼吸性嗅覚障害,嗅粘膜中の嗅細胞の障害による嗅粘膜性嗅覚障害,または呼吸性嗅覚障害と嗅粘膜性嗅覚障害を合併した混合性嗅覚障害に分類される.嗅覚障害の原因疾患は主なものとして鼻副鼻腔炎,感冒罹患,頭部外傷や薬剤などによるもの等があるが,最も多いのは慢性副鼻腔炎である.慢性副鼻腔炎による嗅覚障害は粘膜腫脹や鼻茸により嗅素が嗅裂に到達しないことにより起こる呼吸性嗅覚障害に分類される.しかし,鼻閉症状が改善しても嗅覚障害は残存することがあることから嗅上皮が慢性炎症によって障害を受ける嗅粘膜性嗅覚障害の合併の可能性が強く示唆されている.一方,通常の慢性副鼻腔炎では手術による嗅覚障害の改善は70%台で,好酸球性炎症の強いものでは,嗅覚障害が重症化しやすく難治だと言われている.
今回我々は,2012年10月から2015年10月の期間に当院当科で施行した慢性副鼻腔炎に対して内視鏡下副鼻腔手術を施行した症例のうち手術前後で嗅覚の評価をし得た約30症例を対象に,嗅覚障害の改善成績の検討を行った.評価項目は手術前および手術後3ヵ月で施行した基準嗅覚検査(T&Tオルファクトメトリー:T&T)および静脈嗅覚検査である.さらに,病理検査に基づく好酸球性炎症の有無や程度,病悩期間などの点かも検討を加え興味深い結果を得ることができたので報告する.

2016/06/23 17:30〜18:00 P21群

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