第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【目的】東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科はな外来(以下,当施設)で経験した自験例を用いて外傷性嗅覚障害の予後予測因子を検討した.
【方法】当施設にて1994年6月から2015年11月の期間に経験した頭部外傷後および頭蓋内手術後に発症した外傷性および医原性嗅覚障害121例のうち,2回以上T&Tオルファクトメータを用いて基準嗅覚検査を行った41例を対象とした.日本鼻科学会嗅覚検討委員会の嗅覚改善度判定基準に準じて認知平均が1.0以上改善したもの,あるいは2回目の認知平均が2.0以下となったものを治癒・軽快群,それ以外を不変・悪化群としてロジスティック回帰分析を行った.
【結果】外傷後嗅覚障害の改善予測因子として性別,観察期間,初診時基準嗅素A(β phenyl-ethyl alcohol)の認知閾値,初診時基準嗅素B(methyl cyclopentenolone)の認知閾値が有意であった.初診時に評価可能な性別,初診時基準嗅素A,Bの認知閾値を用いたROC曲線から,回帰分析モデル上のカットオフ値を0.436に設定すると感度66.7%,特異度95.7%,陽性的中率85.7%,陰性的中率88.0%で嗅覚予後を予測可能であった.
【結論】自験例41例を用いて外傷後嗅覚障害の予後予測因子を検討した.性別,初診時基準嗅素A,Bの認知閾値を用いることで高い特異度をもって予後予測可能であることを示した.

2016/06/23 17:30〜18:00 P21群

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