第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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タイトル

【目的】感冒後嗅覚障害の嗅覚予後を明らかにすること.
【対象】2006年12月から2015年7月までに当科を受診し,感冒後嗅覚障害と診断された患者125例(男性34例,女性91例)を対象にした.平均年齢は56.6±13.6歳(16~81歳),平均病悩期間は9.6±19.8ヵ月(1~180ヵ月),平均観察期間は13±8.4ヵ月(3~48ヵ月)であった.治療薬はベタメタゾン点鼻液,メコバラミン,当帰芍薬散,亜鉛などを使用した.
【方法】カルテ記載にもとづく後ろ向き研究.基準嗅力検査平均検知域値,平均認知域値,自覚症状スコア(5段階スケール)の結果を解析した.
【結果】初診時重症度は,正常4%(5例),軽度9%(12例),中等度26%(32例),高度30%(37例),脱失が29%(36例)であった.自覚症状は,初診時には「近づけると大体におう」以上の嗅覚の症例は13.0%(14例)で,最終受診時には,66.7%(72例)であった.基準嗅力検査の平均認知域値は,初診時は4.44±1.34で,最終受診時は3.10±1.83であり,日本鼻科学会嗅覚改善度判定基準では,治癒率34%,改善率60%であった.基準嗅力検査平均検知域値は受診後18ヵ月まで,認知域値は12ヵ月まで回復傾向を認めた.一方,自覚症状スコアは24ヵ月まで回復傾向を認めた.
【結論】基準嗅力検査では平均観察期間13ヵ月で改善率は60%であった.嗅覚の改善傾向は受診後6ヵ月以内で強く,その後は鈍化していくが,24ヵ月以内は嗅覚改善傾向が持続していた.

2016/06/23 17:30〜18:00 P21群

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