第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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アレルギー性真菌性副鼻腔炎(AFRS)とは易再発性の非浸潤型副鼻腔真菌症のひとつである.当科において,経験したAFRSと考えられる2症例を報告する.
症例1:18歳男性.右片側性鼻閉を主訴として当科受診.右片側性の鼻茸を認め,画像上右汎副鼻腔炎を認めた.血液検査においてIgE 1132 IU/mlと高値を,またIgE-RASTにて真菌への感作を認めた.内視鏡下鼻内手術(ESS)を施行し,上顎洞から好酸球を主体とする炎症細胞を含む粘調な物質および乾酪物質を認め,培養にてアスペルギルスが検出された.術後改善を認めたが,約2年後に右鼻閉症状および鼻茸の再燃を認めたが,ステロイド内服治療で改善を認めた.
症例2:31歳男性.鼻閉・鼻汁症状を主訴として当科受診,右片側性の鼻茸を認めた.画像(CT)上,右上顎洞を中心とした汎副鼻腔陰影・右上顎洞骨肥厚を認めた.初回術前の血液検査ではIgE 83 IU/ml,真菌への感作は明らかでなかった.ESSを施行し粘稠なムチンを認め,病理結果では好酸球性ムチンおよび真菌(アスペルギルス)を認めた.術後経過良好であったが,その後,海外出張後に激しい頭痛を訴え受診.CT撮影したところ蝶形骨洞に充満する陰影を認め,局所麻酔下で蝶形骨洞開放および洗浄を施行した.蝶形骨洞内はポリープ様の粘膜腫脹が強く,その深部に乾酪物質を多量に認めた.処置後経過は良好であったが,その後,反対側の左鼻内に鼻茸の増殖を認め,ESSを施行した.その際の血液検査では真菌への感作を認めた.その後,増悪所見をきたすこともあるがステロイド内服にてコントロール可能であり,経過良好である.若干の文献的考察を加え報告する.

2016/06/23 18:06〜18:30 P20群

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