第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

プログラム

No

タイトル

鼻アレルギー診療ガイドラインにおいてアレルギー性鼻炎に対する経皮的免疫療法は,少なくとも2~3年の継続が必要とされているが,治療終了の基準またはその作用機序は不明な点も多く,その施行率は決して高いとはいえない.現在ではスギ花粉症に対する免疫療法として標準化エキスが使用できるようになり,その治療効果と副反応の減少が期待されている.抗原を皮下注射した際には皮下局所でI型アレルギー反応が生じ,即時相と遅発相を有する.皮下注射施行15分後の発赤長径を計測し,アナフィラキシー反応対応の一助としているが,4~6時間後またはそれ以降に生じる遅発相反応について当科ではこれまで関知していなかった.免疫療法の作用機序の考察には,肥満細胞からの脱顆粒に対してだけではなく遅発相におけるアレルギー性炎症への影響を評価する必要があると考え,減感作療法日誌を患者に渡し抗原注射6時間後,24時間後,48時間後の遅発相反応の測定と記載を行っていただいた.
今回我々はスギ花粉症に対する皮下免疫療法施行時の即時相と遅発相の変動を経時的に検討し,免疫療法の効果発現との関連性について検討した.皮下免疫療法の効果を認める群では,効果を認めない群に比較して抗原皮下注射後の遅発相反応径が有意に小さいことがわかった.一方,即時相反応では両群に差異を認めなかった.以上より,遅発相反応が免疫療法の効果判定の一助となることが示唆された.

2016/06/23 17:30〜18:06 P19群

操作