第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【目的】2010年から2012年に実施されたスギ花粉症に対するTO-194SL(シダトレン)第3相臨床試験では,スギ花粉症の症状抑制効果が確認されたが,個別にみると効果は一様ではない.今回は治療効果に影響を与える因子を検討するため,患者背景グループ別のサブ解析をretrospectiveに実施した.
【方法】対象はTO-194SL第3相臨床試験で2シーズン目まで治療を完遂した実薬群241例およびプラセボ群241例とした.年齢,性別,身長,体重,スギ花粉症罹患年数,家族歴,総IgE,抗原特異的IgE,感作抗原数など,患者背景因子による有効性の群間比較を行った.また1シーズン目と2シーズン目の症状変化をもとに,実薬群から著効群と無効群を抽出し,同様に背景因子の比較を行った.
【結果】2シーズン目の症状ピーク期間の総合鼻症状薬物スコアの平均値は,プラセボ群と比較し実薬群では有意な低下が認められ,大部分の背景グループにおいて実薬群では有意に症状を抑制していた.ただし,身長,体重の値が高いグループでは有意差を認めなかった.また,実薬群から抽出した著効群と無効群について解析しても効果に影響を与える因子は認めなかったが,身長,体重の値が高いグループでは無効群の割合が高くなる傾向にあった.
【結論】TO-194SLは患者背景因子に関わらずスギ花粉症に有用であることが示された.ただし,身長,体重の値が高いグループでは現行の投与量では効果に制限がある可能性も示唆された.

2016/06/23 17:30〜18:06 P19群

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