第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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頭頸部領域に発生する悪性腫瘍の多くは上皮性腫瘍であるが,鼻副鼻腔は非上皮性腫瘍の好発部位でもあり組織型も多彩である.しかし平滑筋肉腫の発生は比較的まれであり,本邦における2000年以降の報告例も10例程度しかない.今回われわれは鼻腔に発生した平滑筋肉腫の治療を経験したので報告する.
症例は60歳女性.主訴は右鼻閉および鼻出血.受診1ヵ月前から右鼻閉を自覚していたが,特に誘因なく大量の鼻出血があり近医耳鼻咽喉科を受診した.同院で腫瘍性疾患を指摘され,精査加療目的に当科を紹介された.初診時右鼻腔内を占拠する表面平滑な充実性腫瘤を認めた.腫瘤は鼻中隔~下鼻甲介から発生し,易出血性であった.CT画像所見では,内部不均一な腫瘤が右鼻腔前方を占拠していた.MRI画像所見では同部位に内部がモザイク調で造影効果の高い腫瘤が描出された.易出血性であったため外来生検はせず,全身麻酔下に切除生検を施行した.術前の所見より悪性腫瘍が疑われていたため,安全域を十分に確保した拡大デンケル手術を行った.平滑筋肉腫との病理診断を得た.切除断端は陰性であった.術後アジュバント治療として放射線照射70 GyおよびVAC療法(ビンクリスチン1.5 mg/m2,シクロホスファミド1200 mg/m2,アクチノマイシンD 1.35 mg/m2 各7クール)を実施した.現在術後約4年が経過しているが再発転移を認めない.本症例の詳細について文献的考察を含めて報告する.

2016/06/23 18:00〜18:30 P16群

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