第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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多形腺腫は大唾液腺に発生することが多いが,鼻腔内に発生するのはまれである.今回,我々は鼻中隔に発生した多形腺腫を経験したので報告する.
症例は56歳男性.かぜ症状があり近医を受診の際,左鼻腔腫瘤を指摘され当科紹介となった.鼻腔所見では,鼻中隔左側に基部を有する表面平滑で軟らかい腫瘤を鼻腔前方に認めた.鼻腔CTでは左鼻腔前方に造影効果を伴わない腫瘍がみられ,MRIでは同部位にT1強調画像で低~等信号,T2強調画像で等~高信号の腫瘍を認めた.外来での生検の結果は多形腺腫であった.本症例に対し内視鏡下左鼻腔腫瘍摘出術を施行した.術中所見では鼻中隔に基部をもつ表面平滑な充実性の腫瘍であった.腫瘍を,安全域を含めた鼻中隔粘膜ごと摘出し軟骨は温存した.術後経過は良好で現在のところ再発はない.
本邦では鼻腔内に発生した多形腺腫は鼻中隔から発生していることが多い.本症例も鼻中隔の小唾液腺を原発とする多形腺腫であった.鼻腔内から発生した多形腺腫は約6%が悪性化すると報告されており,再発例もみられるため術後も長期の経過観察が必要である.

2016/06/23 18:00〜18:30 P16群

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