第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】耳鼻咽喉科領域における血管線維腫の多くは鼻咽頭に発生し,その他の部位に発生することは比較的稀である.今回我々は,鼻中隔後部に発生した血管線維腫の1例を経験したので報告する.
【症例】61歳男性.2,3年前からの反復する鼻出血を認めていた.近医耳鼻咽喉科にて左鼻腔腫瘍を指摘されたため当科紹介受診した.鼻中隔左側を茎部とし中鼻道から下鼻道後方に充満する腫瘍を認め,生検を施行した.生検後に多量の出血を認めたためタンポン留置にて止血した.4日後にタンポン抜去したところ生検部から再び出血を認めたため再度タンポン留置をした.再留置から6日後にタンポン抜去し止血を確認した.病理結果は血管平滑筋腫であった.外科的切除術を行う方針とし,手術当日に左蝶口蓋動脈に対して塞栓術を施行後,全身麻酔にて鼻内視鏡下に腫瘍摘出術を施行した.塞栓により腫瘍は著明に縮小を認めた.腫瘍基部から数mmの切除範囲を確保して粘膜を切開,骨膜下で容易に剥離できたため鋤骨は温存,粘膜ごと腫瘍を摘出した.術中出血はごく少量であった.経過良好で術後4日目に退院となった.最終病理結果は間質には線維組織が主で平滑筋は散在性に少量認めるのみであることから血管線維腫と診断された.現在,腫瘍再発は認めていない.
【考察】鼻腔内に発生する血管線維腫は比較的稀な疾患であり,鼻咽頭に発生のものと比べて発症年齢や性差,浸潤性,再発の頻度,成因などそれぞれ異なった特徴を認める.鼻腔内に発生するものと鼻咽頭に発生するものの相違点について考察したので報告する.

2016/06/23 18:00〜18:30 P16群

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