第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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ユーイング肉腫は,大腿骨のような長管骨や肋骨,骨盤に好発する軟部悪性腫瘍であり,鼻腔に発生することは稀である.今回我々は,左鼻腔に生じたユーイング肉腫症例を経験したので報告する.
症例は23歳男性.201X年10月に左鼻閉を自覚.鼻出血も来すようになったため,近医耳鼻咽喉科より総合病院耳鼻咽喉科に紹介受診となった.左鼻腔内に腫瘍性病変を指摘され,組織検査の結果,悪性腫瘍が強く疑われたため治療目的に当科を紹介受診となった.前医での病理標本を当院病理部にて再度評価を行うも悪性腫瘍ではあるが組織型の確定は困難という結果であった.CT,MRIにて腫瘍は造影効果が高く左鼻腔から上顎洞,篩骨洞天蓋まで進展していたため,血管塞栓術を施行後に組織診断確定目的に切除を行う方針とした.左顎動脈塞栓術を行った後,左外側鼻切開にて切除を行った.術中所見として腫瘍は左中鼻甲介付近から発生している所見であったが正確な部位の同定は困難であった.術中出血量は150 ccであった.その後の経過には問題なく術後7日目に一旦退院とした.最終診断は摘出標本からのRT-PCRでEWS(exon7)-FLI1(exon6)の転座が検出され,病理組織像とも併せてユーイング肉腫とのことであった.当院腫瘍内科にコンサルトしたうえで,ビンクリスチン(VCR),ドキソルビシン(DXR),シクロホスファミド(CPA)によるVDC療法5コース,VCRとCPAによるVC療法2コース,イホスファミド(IFO)とエトポシド(VP-16)によるIE療法7コースおよび放射線治療(50.4 Gy/28Fr)を行った.約8ヵ月の治療期間を経て現在外来で経過観察を行っているが,再発を認めていない.治療と経過について文献的考察を加えて報告する.

2016/06/23 17:30〜18:00 P15群

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