第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】鼻性髄液漏は頭蓋底に欠損が生じることにより,鼻副鼻腔内に脳脊髄液が漏出する疾患である.鼻汁中ブドウ糖濃度(正常値10 mg/dl以内)が30 mg/dl以上の場合髄液漏を疑う.非外傷性の場合,外科的治療が第一選択となる.今回我々は上部篩骨蜂巣より髄液の漏出を認めた特発性髄液漏に対し,内視鏡下瘻孔閉鎖手術が成功した1例を経験したので若干の考察を交えて報告する.
【症例】45歳女性.
【主訴】頭痛.
【既往歴】特記すべきものなし.
【現病歴】20xx年2月末よりスギ花粉症にて近医で内服加療中であり,右側水様性鼻汁が続くも,経過観察されていた.同年3月中旬より起床時に頭部全体の痛みが出現,髄液漏が疑われ,3月下旬に当科紹介受診となった.
【外傷歴】なし.
【初診時鼻内所見】右中鼻甲介内側,鼻中隔側より透明な漏出液を認めた.
【CT所見】副鼻腔に明らかな骨欠損を認めなかった.
【鼻汁ブドウ糖濃度】60 mg/dl.
【手術所見】鼻性髄液漏を疑い,右内視鏡下瘻孔閉鎖術を施行した.硬性内視鏡下に最後部篩骨まで開放した.後部篩骨の天蓋付近粘膜を除去すると,拍動性に透明な液体が流出する1 mm程度の裂孔を認めた.あらかじめ採取しておいた鼻中隔粘膜で被覆しフィブリン糊で固定した.さらにゼラチンスポンジ,抗菌薬含浸軟膏ガーゼで固定し手術終了とした.
【術後経過】術後合併症なく経過した.8ヵ月が経過したが,臨床症状は認めていない.
【まとめ】内視鏡下瘻孔閉鎖術が有用であった.瘻孔が小さく,鼻中隔粘膜にて瘻孔閉鎖可能であった.

2016/06/23 18:06〜18:36 P14群

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