第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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乳頭腫など良性腫瘍に対する鼻内内視鏡手術は,現在では一般的な術式として広く行われているが,その手術適応はさらに拡大し,悪性腫瘍である嗅神経芽細胞腫や扁平上皮癌に対しても内視鏡手術が行われてきている.今回,我々は篩骨洞原発の篩骨洞扁平上皮癌,および未分化癌に対する内視鏡支援下外側鼻切開手術を行った症例について報告する.
症例1は54歳男性.主訴は右鼻閉,流涙.初診時所見では右前鼻腔に赤色壊死性の腫瘤を認め,一部後鼻腔への突出を認めた.組織検査で低分化squamous cell carcinomaと診断された.CT所見にて右鼻腔篩骨洞内を主座として径57×32 mm大の内部不均一に造影される腫瘤性病変を認めた.X年6月22日当科入院のうえ,術前放射線化学療法40 Gy施行後,同年8月23日,右鼻副鼻腔悪性腫瘍摘出手術,右上頸部リンパ節郭清術を行った.手術方法は外側鼻切開術を基本とし,鼻腔内操作は鼻内内視鏡支援下にて施行した.術後病理評価では腫瘍は断端陰性であった.術後放射線照射も併用し術後3年経過するが再発は認められない.
症例2は39歳男性.主訴は左鼻閉.Y年7月6日の初診時所見では,左鼻腔に表面不正な壊死性の腫瘤を認め,組織検査ではundifferentiated carcinomaと診断された.外来精査中の7月23日に意識不明となり当院救急部に搬送された.CT検査にて篩骨洞を主座として,左鼻腔から左眼窩内,頭蓋底に進展する腫瘤を認め,頭蓋底に進展した腫瘤からの出血が示唆された.同日,当院脳神経外科にて開頭血腫除去・腫瘍摘出術を施行された.その後,全身状態が改善したため,同年10月14日,左鼻副鼻腔悪性腫瘍摘出手術を行った.手術方法は外側鼻切開術を基本とし,鼻腔内操作は鼻内内視鏡支援下にて施行した.術後病理評価では腫瘍は断端陰性であった.現在経過診察中である.
鼻副鼻悪性腫瘍に対しては,鼻内内視鏡支援下鼻外手術は有効な手術術式と考えられる

2016/06/23 18:06〜18:36 P14群

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