第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】好酸球性副鼻腔炎は末梢血好酸球増加や鼻副鼻腔粘膜中の著明な好酸球浸潤を示す難治性の副鼻腔炎で,気管支喘息などを合併した重症例では手術的治療後も高率に再発する.近年,厚生労働省研究班による疫学的調査と診断基準(JESREC Study)が作成され,臨床所見によるスコアリングと病理組織学的検査による明確な診断がなされるようになった.今回,当科において内視鏡下鼻副鼻腔手術を行った症例についてJESREC Studyに基づいて好酸球性副鼻腔炎の診断を後ろ向きに行い,臨床的特徴について検討したので文献的考察を加えて報告する.
【対象】2008年4月から2015年10月の7年6ヵ月間に手術的治療を行った慢性副鼻腔炎224例を対象とした.
【結果と考察】好酸球性副鼻腔炎と診断した症例は36例(軽症12例,中等症12例,重症12例)であった.特に,術前に慢性副鼻腔炎と考えたが病理組織学的検査から好酸球性副鼻腔炎と診断した症例が軽症例に含まれた.年齢は8~78歳(平均50.7歳,中央値55.0歳)で,慢性副鼻腔炎症例全体よりも若年の傾向があった.主訴は鼻閉・嗅覚障害が多く,全例で鼻茸を認めた.合併症として,14例(38.8%)に気管支喘息,2例(5.5%)にアスピリン喘息,1例(2.7%)にNSAIDsアレルギー,5例(13.8%)にアレルギー性鼻炎,1例(2.7%)に好酸球性中耳炎が認められた.自験例においても本スコアリングシステムは有用と考えられた.

2016/06/23 18:06〜18:36 P14群

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