第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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Pott’s puffy tumor(以下PPT)とは急性前頭洞炎から生じた前頭洞骨髄炎,それに伴い前頭部骨膜下に膿瘍形成が生じ,あたかも腫瘤状に突出する軟らかい腫脹をきたす疾患である.1768年に初めてPercivall Pottによって報告された.現在は抗菌薬の発達に伴い,非常に稀な疾患となった.また,好発年齢は思春期の10代で成人での報告は稀であり,成人発症の報告のほとんど外傷性や免疫基礎疾患のある症例である.しかし,今回,我々は基礎疾患や外傷の既往もない成人発症のPTTの症例を経験した.前頭部の腫脹があり他総合病院皮膚科・形成外科にて消炎およびドレナージを施行するも再発を繰り返すため,当院当科に紹介のあった症例である.CTにて前頭洞陰影および骨びらんを認め,前額皮下に膿瘍形成を認めたためPPTと診断した.当院当科で前頭洞ドレナージとして内視鏡下鼻副鼻腔手術を行った.PPTは非常にまれな疾患であるが,診断および治療開始の遅れが重大な合併症を引き起こす恐れがあり耳鼻咽喉科医にとっては現在も留意すべき疾患である.今回,我々が経験した症例は基礎疾患がない成人発症のPPT症例であり大変稀な症例であったため文献的考察を含め報告する.

2016/06/23 17:30〜18:06 P13群

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