第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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はじめに:頸部リンパ節腫脹は耳鼻咽喉科の日常診療でよく遭遇する症状の一つである.原因は多岐にわたり,様々な検査を行うが生検が最も有用である.しかし生検を行っても診断がつかない症例に遭遇することもある.今回,生検にて診断のつかなかった悪性疾患6例(悪性リンパ腫3例,中咽頭癌1例,甲状腺癌1例,肉腫1例)のうち代表的な4例について文献的考察を交えながら報告する.
症例1:63歳男性.2週間前からの左頸部腫脹で受診.画像検査で内部に囊胞変性を伴う多数の頸部リンパ節腫脹を認めたが,FNA,生検にて壊死であり診断つかず.再度生検にて悪性リンパ腫の診断となった.
症例2:56歳女性.1週間前からの嗄声で受診.左反回神経麻痺,左鎖骨上窩腫脹認めた.PETで頸部リンパ節,骨,肺に集積があり悪性腫瘍を疑われたがリンパ節FNA,生検にて血管腫症の診断,再度生検にて類上皮血管肉腫の診断となった.
症例3:62歳男性.数日前からの右頸部腫脹で受診.画像検査で囊胞変性を伴う右頸部リンパ節腫脹を認めた.リンパ節生検を行うも壊死の診断.経過観察となったが,その約1年半後再度右頸部リンパ節腫脹出現し,右扁桃生検で扁平上皮癌,リンパ節FNAでclass5であり右扁桃癌リンパ節転移の診断となった.
症例4:74歳女性.右鎖骨上窩リンパ節腫脹で受診.右反回神経麻痺もあり転移性リンパ節腫脹の疑い.FNAでclass2,その後縮小傾向にあり経過観察していたが4ヵ月後再増大し,リンパ節生検を行うも悪性所見なし.甲状腺腫に対するFNAは乳頭癌の診断であり,再度生検にて甲状腺乳頭癌リンパ節転移の診断となった.
頸部リンパ節腫脹には見逃してはならない悪性腫瘍の可能性がある.上記のように生検で診断がつかないこともあり,その場合には悪性腫瘍の可能性を念頭に置く必要があると考えられた.

2016/06/23 18:12〜18:48 P12群

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