第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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Rosai-Dorfman病は原因不明の非腫瘍性組織球増殖性疾患で非ランゲルハンス細胞組織球症の一亜型である.20代までの若年男性に多く発症し,無痛性の両側頸部リンパ節腫脹が主症状であり約80%が頸部リンパ節に発生するといわれている.画像検査では非特徴的所見であり,診断は組織学的診断に委ねられる.自然寛解も多いが,節外病変や多発病変などに対してはステロイドや免疫抑制剤による加療,外科的切除などが行われ,腎肺肝病変などの節外病変を伴う症例の5~10%は致死的といわれる.今回われわれは両側頸部リンパ節腫脹をきたした典型的なRosai-Dorfman病の1例を経験したので報告する.
症例は12歳男児.既往歴に花粉症,アトピーがあり内服加療をされていた.徐々に増大傾向のある両側頸部腫脹を主訴に近医耳鼻咽喉科を受診した.抗生剤の内服加療にて改善を認めないため2週間後に当科紹介となった.初診時に両側頸部に多発するリンパ節腫脹を認め,上頸部の腫脹が優位であった.その他の耳鼻咽喉科領域には異常所見は認めなかった.MRI検査では左右対称性の両側頸部リンパ節腫脹を認め,リンパ節の内部壊死は認めず非特異的な所見であり,ガリウムシンチグラフィーでは頸部の集積のみで,頸部の穿刺吸引細胞診では炎症性細胞のみとの結果であった.初診2ヵ月後に局所麻酔下に頸部リンパ節生検を行い,組織学的検査でs-100+,CD1a-であり,特徴的なemperipolesisを認めたため診断確定となった.多発病変で症状の改善を認めないことよりPSL 40 mg/日からの漸減投与を行い頸部リンパ節腫脹は消失した.現在,治療終了後2ヵ月が経過しているが再燃は認めていない.

2016/06/23 17:30〜18:12 P11群

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