第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【背景・目的】突発性難聴に対するステロイド大量療法は一般的な治療法として行われているが,ステロイド使用量は施設によって異なり統一されたプロトコールはない.当科では2011年5月に突発性難聴に対するステロイド大量療法のプロトコールの改変を行ったので,ステロイド使用量が突発性難聴の治療効果に及ぼす影響を検討した.
【対象】2009年1月から2014年12月の間に京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科に入院しステロイド大量療法を行った急性感音難聴のうち,1.突然発症,2.初診時に連続する3周波数で純音聴力閾値が30 dB以上,3.治療後の経過観察で聴力の軽快増悪の繰り返しがない,の3点を満たす症例を突発性難聴とした.そのうち発症後1ヵ月以上経過後の純音聴力検査結果が得られている58名(男性25名,女性33名)を今回の検討対象とした.
【方法】水溶性プレドニン200 mgの9日間漸減投与群(25名)と100 mgの9日間漸減投与群(35名)とで比較し,患者背景(性別,年齢,患測,初診時聴力,初診時めまい症状の割合,治療開始までの日数),5分法での聴力閾値変化量,聴力閾値が10 dB以上改善した症例と30 dB以上改善した症例の割合を統計学的に解析した.
【結果】上記患者背景について両群間に統計学的有意差は認めなかった.200 mg投与群と100 mg投与群の純音聴力閾値改善量はそれぞれ19.0 dBと25.8 dB,聴力閾値が10 dB以上改善した症例の割合は72%と78.8%,聴力閾値が30 dB以上改善した症例の割合は20%と42.4%で,各項目において両群で統計学的な有意差は認めなかった.
【考察】両群間で聴力閾値改善に有意差が見られなかった理由として,100 mg投与群のステロイド投与量でステロイド受容体が飽和したことが考えられた.
【結論】水溶性プレドニン100 mgからの漸減投与は200 mgからの漸減投与と遜色ない治療効果を得られた..

2016/06/23 18:06〜18:36 P10群

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