第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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側頭骨から発生した骨巨細胞腫はしばしば報告されているが,外耳道発生の軟部組織由来巨細胞腫は極めて稀な腫瘍である.今回我々は外耳道巨細胞腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
症例は49歳女性.3ヵ月前から入浴時に右耳に水がたまりやすい事を自覚.その際に右外耳道内に腫瘤を触知,時に痛みがあることから近医耳鼻咽喉科を受診.右外耳道腫を指摘され,当科紹介受診となった.初診時,右外耳道前壁を中心に表面平滑で弾性やや軟な腫瘤を触知した.側頭骨単純CTでは右外耳道軟骨部から骨部にかけ腫瘤を認めていた.外耳道腫瘍として組織検査を兼ねて全身麻酔下での腫瘍全摘出術を行った.右外耳道下壁から前壁にかけて腫瘤を認め皮膚を含め摘出を行った.病理組織学的検査では単核細胞と同様な核を有する破骨細胞類似の多核巨細胞が検出され,巨細胞腫と診断した.術後1年半経過し現在も局所再発は認めていない.
軟部組織由来の巨細胞腫は1972年にSlamらにより提唱されている.大部分は四肢から発生するが,躯幹部や頭頸部からも発生する可能性がある.年齢や性差には有意差は認められない.治療は外科的治療が第一選択である.

2016/06/23 17:30〜18:06 P5群

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