第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】頭頸部領域の粘液腫は顎骨から発生することが多く,上顎洞粘液腫などの症例報告は散見されるが,外耳道を発生由来とする粘液腫の報告は極めてまれである.今回我々は,外耳道粘液腫の1例を経験したので報告する.
【症例】43歳男性.
【主訴】右外耳道腫瘤.
【現病歴】20XX-3年頃から右外耳道に腫瘤性病変を認めていたが放置していた.しかし徐々に増大を認めたため,20XX年10月5日近医形成外科を受診.右外耳道腫瘤の精査加療目的に10月8日当院形成外科に紹介となり,同日当科に紹介受診となった.右外耳道は上壁から発生した皮下腫瘤性病変によって狭窄をきたしていた.腫瘤病変は表面平滑,弾性硬で無痛性であった.造影CTでは淡く不均一な造影効果を認めるも,周囲への明らかな浸潤や骨破壊は認められなかった.
【経過】11月11日全身麻酔下に右外耳道腫瘍摘出術を施行した.腫瘤周囲を楔型に切開し表面や周囲の皮膚を含めて一塊にして摘出した.病理組織学的検査で腫瘤は,粘液状基質を背景として異型の乏しい星芒状細胞と紡錘形細胞が疎に分布していた事から,粘液腫と診断した.術後経過は良好である.現在外来で経過観察を行っているが,再発は認められていない.
【考察】粘液腫は比較的まれな軟部組織を起源とする良性腫瘍で,全身に発生し特に左心房に好発することで知られるが,耳鼻咽喉科領域に発生することは比較的まれである.詳細を若干の文献的考察をふまえて報告する.

2016/06/23 17:30〜18:06 P5群

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