第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】残存聴力活用型人工内耳(Electric Acoustic Stimulation,以下EAS)は低周波数音域に残存聴力を認めるが,中,高音域の高度感音難聴のために補聴器では十分な閾値,明瞭度が得られなかった症例に有用性が認められている.当科では2015年11月までに小児2症例にEAS植込み術を施行したので報告する.
【症例1】5歳7ヵ月男児.新生児聴覚スクリーニング(以下NHS)で両側referのため生後15日目,精密検査機関を紹介初診となった.生後1ヵ月時ABRでは右60 dB,左65 dBであったが生後4ヵ月再検で両側105 dBと閾値が悪化し,補聴器装用開始となった.CORで高音障害型難聴を認め十分な補聴効果が得られなかったため,X年左耳にEAS植込み術を行った.音入れ後の反応は良好で,サ行・タ行の発音改善がみられた.X+2年12月対側EAS手術を施行した.術後聴力は残存された.遺伝子検査ではCDH23遺伝子E956KおよびP240Lの複合ヘテロ変異が同定された.
【症例2】10歳8ヵ月歳男児.NHSは不検.3歳時聴覚検診でささやき声は聴取不可だが経過をみるよういわれた.6歳時学校健診で難聴指摘.純音聴力検査で高音急墜型感音難聴を認め,ABRは右105 dB,左95 dBであった.6歳時から補聴器装用開始,10歳時に聴力悪化を認めた.最高語音明瞭度は45%で,高音域の補聴器装閾値は不十分であったため,本人,家族へ情報提供を行い,10歳4ヵ月時に右EAS植込み術を施行した.術後3ヵ月現在,装用閾値の改善あり,明瞭度はEAS,補聴器両耳装用で75%まで改善した.術後聴力は残存された.

2016/06/23 18:06〜18:48 P4群

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