第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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Pendred症候群は先天性感音性難聴,ヨード有機化障害,甲状腺腫を特徴とする疾患である.今回我々は感音性難聴・めまいを契機に受診しPendred症候群と診断した2例を報告する.
【症例1】47歳女性.ごく幼少期より難聴があり,頭部を強打した3歳時よりほぼ聾となった.また,幼少期にはめまい症状があり,大学病院小児科等で精査したが原因は不明といわれていた.40歳時に甲状腺腫のため某病院外科にて甲状腺右葉切除を受けた.X-1年12月頃より再度めまい発作が持続しX年2月旭川医科大学病院耳鼻咽喉科めまい外来を受診した.受診時のめまいはBPPVによるものと診断されたが,これまでの臨床経過からPendred症候群を疑い,頭部MRI,CTを撮像したところ,前庭水管の拡張と半規管の奇形を認めた.切除した甲状腺腫の病理所見を確認したところ,濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫であった.
【症例2】51歳男性.幼少期より難聴であったが,40歳頃から更なる聴力低下を認めたためY年当院受診.難聴に対する精査目的で頭部MRIを施行したところ,内リンパ管・内リンパ囊の拡張を認め前庭水管拡張症と診断された.採血検査では抗サイログロブリン抗体高値,サイログロブリン高値,抗TPO高値であり,超音波検査では甲状腺腫を認めPendred症候群の診断に至った.甲状腺機能は正常であったが,Y+4年8月の採血検査でTSH低値,FT4高値,TRAb高値と甲状腺機能亢進があり現在抗甲状腺薬の内服を行っている.
【考察】Pendred症候群は耳鼻咽喉科医にとっては遭遇しうる疾患であるが,他科における認知度は低い.そのため発見が遅れたり不必要な手術を受けたりすることもあるため,今後は更なる啓蒙が必要と考える.

2016/06/23 18:06〜18:48 P4群

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