第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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めまいを主訴にCTやMRIなどの画像検査や血液検査が行われるも異常なく,更に西洋医学的治療も奏功せずと紹介される症例を数多く経験する.今回そのなかで眼振を認めない症例に限定し,めまいに有効とされている苓桂朮甘湯と四物湯を併せて用いその有効性について検討したので症例を提示し報告する.
症例は39歳から76歳の計11例(平均61.0歳),男女比は男性1例,女性10例であった.症状の評価には,めまいの問診票(和訳 Dizziness Handicap Inventory,以下DHI)を用い初診時,2週後,4週後に行った.ただし初診時に症状の強い場合は記載可能になった時点とした.苓桂朮甘湯を1日量もしくは2/3日量と四物湯を1日量もしくは2/3日量を併せて開始した.症状改善は早いもので2週後より認めた.内服を中断するものはなく,また内服に伴う副作用は認めなかった.治療に難渋し遷延するめまい症例に対して集団的リハビリテーションの有効性の報告やめまいの遷延化のために抗不安薬や抗うつ剤が必要で有効な報告もある.集団的リハビリテーションは人員的な制約にて断念せざるを得ず,また今回の症例はあらかじめDHIを利用することでemotionalの点数は低く抗不安薬は不要と判断した.西洋医学的治療が全例に先行治療として行われたが無効であったため,漢方医学的な考え方を用いることとした.漢方医学的な考え方でめまいは水毒症状であるため利水薬の苓桂朮甘湯を選択し,病悩期間が長いものが多く血虚の合併も考え補血薬の四物湯を加えて治療を行った.その効果は自覚症状と共にDHIでも比較的早期に現れ,難渋するめまいに対して漢方治療は有効であり治療手段となり得ると思われた.

2016/06/23 17:30〜18:06 P3群

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