第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【目的】MRI画像を用いて一側メニエール病患者と慢性副鼻腔炎患者の内耳を3D再構築し,内耳形態の差異の有無を検討した.
【方法】奈良県立医科大学耳鼻咽喉科めまい外来で一側メニエール病と診断された32例を用いた(MD群).対照群として14例の自覚的にめまい症状のない慢性副鼻腔炎患者を用いた.3T MRIでSPACEシーケンスを用いて撮影された画像をVirtual Place(株式会社PixSpace,北九州市)下で3D再構築した.内耳前後径,蝸牛回転長の計測と,内耳構造物(内耳全体,蝸牛,前庭,半規管)容積の測定を行った.測定結果をMD群と対照群の間で比較検討した.
【結果】対照群の検討では,内耳前後径は有意に男性の方が長くまた内耳容積は有意に右側が大きかった.加齢による対照群の内耳前後径は変化を認めず,内耳構造物の容積は小さくなったが,MD群患側の内耳前後径は長くなり,内耳構造物の容積は大きくなる傾向を認めた.内耳前後径と内耳容積の相関について,MD群患側は男性,60歳以上,患側全体で有意な相関を認めたが,対照群は男性,60歳以下で有意な相関を認めた.
【結論】対照群の内耳形態の検討より,内耳の大きさや容積には男女差や左右差が認められた.加齢変化,内耳前後径と内耳容積の相関でも2群間で異なる結果が得られた.今回の方法でヒト内耳の3D再構築による内耳構造物の容積測定が可能であり,メニエール病には特徴的な形態変化があることが示唆された.さらにそれぞれのめまい疾患について詳細な検討が可能であると思われた.

2016/06/23 17:30〜18:06 P3群

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