第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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当初末梢性めまいとして入院加療し,のちに中枢性めまいと診断された症例について検討した.入院後に脳幹梗塞もしくは小脳梗塞が判明した症例は過去2年間に3例あった.全例初診時にMRI等の画像検査を行っていたが,明らかな梗塞等の病変は認めなかった.また,臨床症状からも中枢性めまいを疑わせる所見はなかった.
症例:62歳,女性.
主訴:回転性めまい.
現病歴:家事の途中激しい回転性めまいがおこり,立ち上がれず嘔気もあったため当院ERに救急搬送となる.神経学的検査で異常はなく,CT,MRIでも異常所見がなかったため末梢性めまい症として当科へ紹介となる.
現症:聴力検査では異常はなかった.頭位眼振検査では右水平回旋混合性眼振を認めた.その後もめまい症状と嘔気は持続していた.入院3日目になっても症状の改善がないため,再度MRIを撮影したところ初診時には認めなかった左小脳梗塞を認めた.拡散強調画像で高信号域を認め,FLAIR,T2強調画像でも同部位に高信号を認めたことから左後下小脳動脈PICA閉塞による小脳梗塞,PICA症候群の診断になり神経内科とともに治療を行った.
中枢性めまいでは本症例のように症状の遷延を認める場合が多く,一度画像検査で中枢性疾患が否定されても臨床経過に応じて再度MRI等の画像検査を行う必要性が示唆された.

2016/06/23 18:12〜18:48 P2群

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