第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】めまいは耳鼻咽喉科受診患者に多い主訴の1つであり,全体の1~3%に中枢性めまいが存在するといわれる.めまい患者を入院させる機会の多い我々耳鼻咽喉科医は,救急外来や他科で末梢性めまいと診断され入院した脳幹・小脳梗塞患者を正確に診断する必要がある.しかし,眼振所見や各種検査から脳幹・小脳梗塞の診断に至る事は少なく,実際には臨床所見の重症度や臨床経過から中枢性めまいを疑い,MRI検査を経て確定診断に至るのが実情と思われる.今回我々は当院の現状を明らかにするため,過去13年間にめまいを主訴に当科へ入院し,入院後に中枢性病変が判明した症例を検討した.
【対象と方法】2002年4月~2015年11月に当科にめまいで入院した418例のうち,入院後に中枢性病変が判明した8例を,カルテから後方視的に検討した.
【結果】年齢は平均69.3歳(57歳~85歳),内訳は男性4例,女性4例であり,中枢性病変の内訳は小脳梗塞が7例,脳幹梗塞が1例であった.血管危険因子として,高血圧/脂質異常症/糖尿病/心房細動のいずれかが全例で存在していた.今回の8例は全て,入院前にCT撮影が行われ一度は中枢性病変を否定されていた.中枢性病変が判明するまでの日数は平均5.5日(2日~21日)であり,確定診断は全例MRIによるものであった.
【結論】当科で中枢性めまいと判明した症例は1.9%と,これまでの報告同様であった.MRI撮影を行う絶対的な基準は存在せず,担当医が症状の持続などから判断している施設がほとんどと考えられるが,やはり本検討でも絶対的な検査所見などを見いだす事はできなかった.しかし,諸家の報告によればベッドサイドでの所見(眼振所見,前庭機能評価のためのhead impulse test,中枢性病変の存在を示すskew deviationなど)がその一助となる可能性が示唆されており,今後当科でも導入していきたい.

2016/06/23 18:12〜18:48 P2群

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