第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】狭義の二次性真珠腫は鼓膜上皮が穿孔縁より中耳に侵入して形成される真珠腫であるが,症例数が少なく十分に検討されていないのが現状である.日本耳科学会用語委員会より中耳真珠腫進展度分類2015改訂案が作成され,その中で二次性真珠腫についても進展度分類が作成された.今回我々は当科における二次性真珠腫について,その分類をもとに検討したので報告する.
【対象】2009年から2014年の6年間に当科にて二次性真珠腫と診断され手術加療を行った初回手術症例を対象とした22例.男性9例,女性13例,手術時平均年齢55歳(13~87歳),平均観察期間は25ヵ月(1~54ヵ月)であった.
【結果】術式は乳突非削開鼓室形成術8例,外耳道保存型鼓室形成術11例,外耳道後壁削除・乳突開放型鼓室形成術1例,外耳道後壁削除・乳突非開放型鼓室形成術2例で,段階的手術は14例(64%)であった.日本耳科学会中耳真珠腫進展度分類2015改訂案によるstage分類に従って分類を行ったところ,stage1aが2例(9%),stage1bが9例(41%),stage2が10例(45%),stage3が1例(5%),stage4は0例であった.再発はstage2の症例1例で,カプランマイヤー法による3年累計再発率は14%であった.聴力を評価できた20例の日本耳科学会判定基準2010による聴力成績は,術前骨導を用いたもので55%,術後骨導を用いると術後気骨導差10 dB以内が20%,20 dB以内は60%であった.
【考察】今回の検討では以前我々が検討した弛緩部,緊張部型真珠腫に比べて進行した症例が少なく,術後再発率は低い結果であった.

2016/06/23 17:30〜18:12 P1群

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