第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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声帯結節や声帯ポリープなど声帯の良性隆起性病変は,発声法の悪習慣が病態の発症と関係しているといわれている.今日では発声指導は声の健康指導とともに音声治療として行われる施設も増えてきた.手術や薬剤療法単独ではなく,この発声指導を併用することで,治療期間を早めたり,再発予防に貢献している.このためには,治療の前に発声状態をまず把握することが必要なのだが,客観的な方法がなく発声状態を把握しないまま,行っているのが現状であろう.
発声状態を評価する方法としては,私が開発したボイスマップ法がある.呼気と喉頭調節の関係,喉頭調節と声道調節の関係を発声訓練やボイストレーニングの現場で使いやすいように二つの図で表す方法である.これを使用すると発声状態を評価する診療姿勢ができる.さらに声帯振動の起声を起こす呼気(呼吸)の状態を表す方法を加えると,より病態の発症原因に沿った分析と評価が可能となり,音声治療の一環としての発声訓練が効果的になる.
この呼吸の評価法には,昨年度本学会でも報告したストレインゲージを用いたリアルタイム呼吸パターン分析システムにより分類した5つの評価法が臨床現場でも簡易で便利である.2013年度の音声外来受診者は1070名で昨年度本学会では呼吸法と疾患には関係があり,隆起性声帯病変319名は,1,2型の胸式呼吸が多いことを報告した.
今回は実際の呼吸訓練の方法や臨床効果について報告する.1回の訓練時間は10~15分で,自宅で毎日行うよう指示し,75%位が1回の指導で理解実践可能であった.臨床症状では,声帯結節とポリープでは効果が異なり,結節ではより効果が認められる傾向があった.詳細について報告する.

2016/06/24 10:40〜11:40 第3会場

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