第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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再発性多発軟骨炎(RP)は全身の軟骨に慢性炎症を引き起こす比較的稀な疾患である.症状が多彩で出現時期も一定でないため,診断までに時間を要する場合も多い.今回,当院で経験した再発性多発軟骨炎の3例を報告する.
【症例1】59歳女性.呼吸困難を主訴に受診.左仮声帯から披裂部の腫脹を認め,気管切開術を施行した.外切開下での甲状軟骨の生検と,左耳介軟骨の生検にてRPと診断した.プレドニゾロン漸減投与を行い,腫脹は改善.現段階では再燃なく経過している.
【症例2】79歳女性.呼吸困難を主訴に当院へ救急搬送された.声門下狭窄を認めたが酸素投与のみで自覚症状は改善した.2ヵ月後に再度呼吸困難で救急搬送され,気管切開術を施行.RPを疑い耳介軟骨生検をするも炎症所見は認めず経過観察していた.8ヵ月後に,呼吸困難で救急搬送され,気管カニューレ下端より下部の気管支狭窄を認めた.ほぼ同時期に耳介軟骨膜炎も出現し,また,ステロイド反応性であったことからRPと診断した.初診日から確定診断までに約1年を要した.
【症例3】50歳男性.めまい,難聴を主訴に受診.当初はメニエール病として加療していたが,難聴の高度進行とめまい症状の増悪を認め治療に難渋していた.以前より強膜炎,耳介発赤を繰り返していたことから,前庭蝸牛症状と合わせてRPと診断した.症例2と同様,診断に至るまで約1年を要した.
症例1は病理学的に炎症所見を認めたことで比較的速やかに診断に至ったが,症例2では発症時は炎症が気管に限局していたこと,症例3ではめまい,難聴と本疾患においてまれな初発症状であったことから診断・治療に苦慮した.これら3例の経過と本疾患の病態につき,文献的考察を加え報告する.

2016/06/24 9:50〜10:40 第3会場

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