第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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多発血管炎性肉芽腫症は鼻,耳,上気道および肺の壊死性肉芽腫性病変,全身の中小血管の壊死性肉芽腫性血管炎,人の壊死性半月体形成性腎炎を三徴とする難治性の全身性血管炎である.主要症状,主要組織学的所見,主要検査所見の組み合わせによって確実例,疑い例に分類されそれにより全身型,限局型に分類される.今回,気道狭窄を主訴に来院し診断に苦慮したものの多発血管炎性肉芽腫症と診断に至った症例を経験したので文献的考察も含めて報告する.
症例は70歳男性.呼吸困難感で当科を紹介受診となった.初診時喉頭内視鏡で両側仮声帯の腫脹により気道狭窄をきたしていた.気道確保目的に気管切開を施行し,全身精査を行う方針とした.血液検査にてPR-3 ANCA陽性であり,上気道症状と合わせて多発血管炎性肉芽腫症の疑いとして内科にご高診を頂いたところ組織所見が必要であり,全身麻酔下直達喉頭鏡下生検を行った.その際の所見では確定診断はつかず,多発血管炎性肉芽腫症の疑いとして治療開始となった.しかし,治療効果が乏しく,内科より再生検の依頼があり,その際に鞍鼻も認めたため全身麻酔下に仮声帯の生検および鼻中隔軟骨の生検を行った.術中鼻中隔軟骨は認めず,軟骨膜のみを認めておりそれを組織診断したところ確定診断に至った.現在外来にてフォローしている.

2016/06/24 9:00〜9:50 第3会場

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