第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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局所進行下咽頭癌の治療は集学的治療であるが,手術療法として喉頭摘出を余儀なくされる事が多い.喉頭摘出後は失声となりコミュニケーション障害が発生する可能性は極めて高い.喉頭摘出後の音声再獲得は患者のQOL向上さらには社会復帰にとって非常に重要である.その手段としてシャント発声は優れた方法であると思われる.我々は,4年前から喉頭摘出症例にシャント発声を積極的に推奨してきた.そして,ボイスプロテーシスの一期的挿入は喉頭癌に,二期的挿入は下咽頭癌の遊離空腸や胃管再建例に行ってきた.二期的挿入では,シャント発声可能となるまで半年以上待たねばならず,その間のQOLは著しく低下する.今回,遊離空腸再建症例において,ボイスプロテーシスの一期的挿入が可能であった2症例を経験したので経過を報告する.
症例1は64歳男性.呼吸苦のため緊急気切を施行し下咽頭生検でSCC.下咽頭癌T4aN2cM0 StageIVAの診断.X年4月より導入化学療法TPF2クールを施行し,6月に咽喉食摘,両側頸部郭清術,遊離空腸再建術を行い同時にボイスプロテーシス(Provox® Vega)の一期的挿入術を施行.術後経過良好で術後10日目より発声訓練を開始し,術後照射40 Gyを施行し退院.
症例2は66歳男性.嚥下時違和感と頸部腫瘤で受診し下咽頭生検でSCC.下咽頭癌T4aN2bM0 StageIVAの診断.X年6月に咽喉食摘,両側頸部郭清術,遊離空腸再建術を行い同時にボイスプロテーシス(Provox® Vega)の一期的挿入術を施行.術後5日目遊離空腸壊死を認め新たに遊離空腸再建術を施行.術後再建下端よりリークを認めたため,経口摂取および発声訓練は再手術後24日目となった.術後照射60 Gyを施行し退院となった.入院中はスムーズな発声が可能であったが退院後発声困難となり,現在フリーハンズHMEを使用して発声リハビリ中である.

2016/06/24 10:30〜11:30 第2会場

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