第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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アニマルラボとは生きた動物に全身麻酔をかけ,人間と同様の解剖を持った臓器に対する手術を行うことで,手術の習熟度を高めたり,新しい手技を試す機会とするものである.外科系他科の手術,特に腹腔鏡や胸腔鏡下での手術の研修において以前から有用であると考えられている. 従来,頭頸部手術の研修においては,実際に手術室において助手を経験し,その後上級医の指導を受けながら術者へと成長していくことが多いと思われる.しかし,実際に術者を経験する前に手術のイメージを完成させておくことにより合併症を減らし,かつラーニングカーブをより効率的に上向かせることができるであろうと考えられる.
本報告においては上記の考え方に基づいて慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室にて行っているブタ生体を用いた頭頸部手術研修の試みを報告したい.
頭頸部外科医によるブタ頸部解剖の報告はこれまでになかったため,ヒトとブタとの類似点や差異に関しては当初手探りであったが,これまでの研修からの経験により喉頭および血管,神経の解剖はかなり類似していることが判明した.そこで我々は(1)喉頭全摘術,(2)総頸動脈や内頸静脈といった重要な血管損傷時の血管壁修復手技,(3)迷走神経を用いた神経縫合手技に関する研修を行った.また,これまでに得られた知見をもとに頸部郭清術など他の手術研修への展開を探っている.研修前後の手術への理解度チェックや研修に対する満足度調査からも有用な研修であると思われるため,画像や動画などを用いて解説を行いたい.

2016/06/24 10:30〜11:30 第2会場

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