第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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下咽頭梨状窩瘻の根治的治療は外切開による瘻管自体の摘出が第一選択であり,術前の画像診断や術中の同定が可能であれば手術手技としては難しくはない.しかしながら術前に感染を繰り返した結果,癒着が強度で摘出に難渋する症例も存在する.また,瘻管自体の走行偏倚があった場合でも同様である.今回我々は,術前診断もCTおよび嚥下造影で可能であり,術中瘻管のピオクタニンでの染色やゾンデの挿入が可能であったにもかかわらず摘出に時間を要した症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
症例は10歳男児で,数年前より当院小児科にたびたび左前頸部皮下膿瘍にて入院していた.当科受診し,造影CTでは甲状腺上極よりも前方に皮下へと伸びる膿瘍を認め切開排膿,抗菌薬投与で保存的に治療を行った.軽快したため,再度嚥下造影を施行,CTでも瘻管への造影剤の流入が確認できたためご家族の希望もあり摘出術を行った.術中輪状甲状関節付近では瘻管は確認できず,甲状軟骨内を貫通して前方で盲端となっていたため甲状軟骨を一部切除しつつ全摘した.術後嚥下造影で瘻管の閉鎖を確認した.現在まで再発を認めず,経過良好である.

2016/06/24 9:50〜10:30 第2会場

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