第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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耳下腺腫瘍は頭頸部腫瘍のなかでも,比較的若年女性の罹患率が高い.良性腫瘍に限らず,一般的な切開法は耳前部より耳垂付着部下方を通り,乳様突起から上頸部にかかるS字状切開法であるが,近年の患者ニーズの高まり,手術器具の進歩などの背景から,可及的に審美性を追求した手術方法が考えられるようになってきた.良性耳下腺腫瘍の領域では形成外科領域で顔面の皺とり手術の際,用いられるL字状切開法(facelift incision)を応用した報告が2000年以降,散見されるようになった.当科では2005年以降,女性の症例に対して導入しはじめ,現在では男性でも十分に適応があると考え適応を広げながら施行してきた.問題点として一般的に行われているS字状切開法との比較では腫瘍の直上に皮膚切開がないため,操作上の難易度が高くなることが危惧される.しかし実際には術野は比較的広く保たれ,安全に行えることが当科の検討でもわかってきた.これまで,報告されてきた内容(腫瘍の大きさ,手術時間,合併症の発生頻度など)と同様の検討を行い,当科で行われている術前診断と関連させた考察も行った.現在のところ,18例に施行し合併症として術後出血1例,唾液漏2例を経験した.これら,いくつかの問題点を考察し,今後の展望を含めて報告させていただく.

2016/06/24 9:00〜9:50 第2会場

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