第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

プログラム

No

タイトル

【はじめに】IgA腎症は,我が国で最も頻度が高い原発性糸球体腎炎(30~40%)であり,全年齢層で発症する.やや男性に多く,若年者(10~40代)の発症が多いとされている.20~30年の経過で30~40%程度の症例が末期腎不全に至る比較的予後不良の原発性糸球体腎炎であり,腎移植患者の10~20%を占める.他疾患により移植した症例に比べ,生着率は高いといわれているが,移植後の再発例が多く報告され,腎移植をした20~60%に再発がみられる.
【目的】近年,IgA腎症に対して両側口蓋扁桃摘出術の有効性が示されつつある.国内においては初発の症例だけでなく,再発症例に対しても広く行われ,有効性が報告されてはいるが,その長期経過を報告したものは少ない.今回,我々は移植後IgA腎症再発例に対し扁摘を施行した10例の長期予後,またその効果にかかわる関連因子の検討を行ったので報告する.
【対象と方法】2005年1月以降,腎移植後に腎生検でIgA腎症の再発が確認され,当院において両側口蓋扁桃摘出手術を施行し,かつ4年以上の経過を観察することができた10例を対象とした.性別,透析期間,移植腎にIgA腎症が再発するまでの期間,再発から扁摘施行までの期間,扁摘からの経過観察期間,血清Cre値,eGFR値,尿蛋白,組織学的重症度,臨床的重症度に関して検討を行った.治療効果判定に関してはIgA腎症分科会の寛解の定義に従った.
【結果,考察】本研究では術前のeGFR値が寛解に影響する因子であることが示唆された.他施設での報告では組織学的に軽症なIgA腎症症例ほど扁摘が有効であることが示唆されたが,本研究においては術前の病理所見は寛解と相関はみられなかった.寛解症例ほど長期間の経過観察がなされている傾向がみられた.寛解までに7年を要した症例もあり,より長期の経過観察が必要である.

2016/06/24 9:00〜9:50 第2会場

操作