第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】石灰沈着性頸長筋腱炎はハイドロキシアパタイトが頸長筋腱に沈着し,その吸収過程に伴う頸長筋の炎症反応により生じるとされており,頸部痛・嚥下時痛・環軸椎前面の石灰化像を3徴とする.局所の安静,鎮痛剤で軽快する予後良好な疾患である.しかし,重症化すると生命に影響を及ぼす咽後膿瘍と症状類似していることから鑑別を要する.今回,当科にて3例の石灰沈着性頸長筋腱炎を経験したため報告する.
【症例1】35歳,男性.後頸部痛を主訴に近医整形外科を受診.MRIにて上咽頭の腫脹を指摘され咽後膿瘍が疑われ当科紹介受診.CTにてC1-2椎体前面の頸長筋腱付着部に相当する領域に石灰化が認められ,石灰沈着性頸長筋腱炎と診断した.対症療法のみで改善を認めた.
【症例2】69歳,女性.食事中に嚥下痛を自覚,頸部腫脹も認めたため当科受診.CTにて頸椎前方に石灰化あり.石灰沈着性頸長筋腱炎と診断した.WBC上昇を認めたため抗生剤の点滴静注を行った.
【症例3】78歳,男性.頸部痛を認め近医受診.CT,MRIにて咽後膿瘍を疑われ当科紹介受診.近医CTを見直したところ,頸椎前方の頸長筋付着部に石灰化を認めたため石灰沈着性頸長筋腱炎と診断した.WBC,炎症反応の上昇を認めたため念のため抗生剤の点滴静注を行った.
【まとめ】今回当科にて経験した石灰沈着性頸長筋腱炎の3例はいずれも特徴的なCT所見を示していた.予後や治療方針の違いから症状の類似する咽後膿瘍との鑑別を要するため本病態における特徴を認識しておくことが求められる.

2016/06/24 9:00〜9:50 第2会場

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