第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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前頭洞単洞化手術(Draf III型/endoscopic modified lothrop procedure: EMLP)はESS分類ではV型に分類され,最近,わが国でも普及してきている.通常は一側の鼻堤の骨削除を下方から上方へ進め,前頭陥凹の中から外へ前頭洞底を削除し(inside-out),鼻中隔を開窓後に,反対側の鼻堤の処理も行い,前頭洞中隔を削除し,左右の前頭洞を単洞化する.Inside-outに対して,outside-inアプローチはEMLPの変法として,第1嗅糸をメルクマールとして,その前方の前頭洞底の骨削除を行い,鼻中隔および前頭洞中隔を削除して前頭洞を単洞化し,前頭洞・前頭陥凹の外から中へ,鼻堤を上から下へ削開していく.いまやEMLP自体は経鼻内視鏡下前頭蓋底手術の一部としても重要であるが,outside-inアプローチは病変に切り込むことなく,頭蓋底の処理が行える点で特に有用である.今回,さらなる応用として健側鼻腔と嗅覚を温存するために片側のoutside-inアプローチから,頭蓋底手術を行った症例について報告する.
症例は頭蓋底の骨破壊を伴う篩骨洞内反性乳頭腫(再発例),前頭蓋底嗅神経芽細胞腫,副鼻腔進展した前頭葉髄膜腫の3例であった.いずれの症例も患側鼻腔からoutside-inアプローチで前頭洞を開放後,前頭洞後壁を明視下に置いて前頭蓋底の処理を行った.乳頭腫では硬膜から腫瘍を剥離することで髄液漏は生じなかった.嗅神経芽細胞腫では硬膜切除を行い,鼻中隔粘膜弁にて頭蓋底を再建した.髄膜腫では脳神経外科との協同で,開頭術と経鼻内視鏡手術を組み合わせて行った.いずれの症例でも良好な視野と広いワーキングスペースのもとで腫瘍切除が可能であり,健側の鼻腔形態と嗅覚が温存された.実際の手術手技について,動画を供覧する.

2016/06/23 10:10〜11:10 第3会場

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