第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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はじめに 錐体尖とは側頭骨錐体部で迷路骨包および内耳道を除いた部分の総称である.同部位に発生する真珠腫は無症状で発見される例は少なく,難聴,顔面神経麻痺,めまい,顔面けいれん,頭痛などを症状に受診し,CT,MRIの画像で診断される.頭蓋内合併症を併発すると重篤な状態に陥ることもある.手術のアプローチ法は経乳突法,経迷路法,経中頭蓋窩法などがある.真珠腫母膜を含めた完全摘出が望ましいが,中・後頭蓋硬膜,頸静脈球,S字状静脈洞,内頸動脈など重要な部位に癒着している場合,真珠腫の完全除去が困難となる場合がある.当科で経験した錐体尖真珠腫の4例を報告する.
症例1:62歳男性.主訴:頭痛・耳漏.初診時,右鼓膜緊張部に陥凹を認め,側頭骨CTで中頭蓋を破壊し,錐体尖,内頸動脈周囲にまで及ぶ軟部陰影を認めた.手術は脳外科との共同手術とし,中頭蓋窩法に経乳突法を併用し行った.
症例2:57歳女性.主訴:顔面けいれん.初診時,右耳所見はopen cavityの状態で明らかな真珠腫を疑う所見はなかった.側頭骨CTで錐体尖部に軟部陰影を認め病変と内耳道は連続し,顔面神経管迷路部は不明瞭となっていた.手術は脳外科との共同手術とし,中頭蓋窩法に経乳突法を併用し行った.
症例3:48歳男性.主訴:顔面神経麻痺.初診時,右鼓膜弛緩部に陥凹を認め,側頭骨CTで錐体骨から乳突腔にかけて軟部陰影を認め中頭蓋は破壊されていた.手術は経乳突法で行い,真珠腫除去目的に,術前聴力聾であったため,内耳道を開放しないように注意しながら三半規管を削開した.
症例4:8歳男児.主訴:難聴.初診時,左鼓膜後象限に白色混濁するmassを透見,側頭骨CTでは上鼓室を中心に不整形軟部陰影を認め,錐体尖部蜂巣まで連続している所見であった.手術は内視鏡を併用し,経乳突法で行った.

2016/06/23 9:00〜9:50 第2会場

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