第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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非真珠腫性慢性穿孔性中耳炎に対し,縁を新鮮化した鼓膜穿孔から皮下結合組織を鼓室内に充満するように詰め込むのみとする簡易,単純な鼓膜再生法を発表者は施行している.本法はフィブリン糊など人工物を使用せず,鼓膜穿孔の位置,径を問わず施行可能で原則的に術後耳内処置が不要な短期滞在型手術である.2015年12月現在,約250耳の術後1年以上経過例で,穿孔閉鎖率および日本耳科学会基準の聴力改善成功率のいずれも,追加処置のない初回単回のみの成績で約85%である.発表者は手術経験を重ねていく過程で様々な工夫を行ってきた.一部を列記すると,1.結合組織詰め込みの至適量の調整,2.1の過程での不足分調整のための複数の結合組織の一片を一片に貫通させて組み合わせる方法,3.パッチ効果不十分例に対する前上象限を中心とする石灰化鼓膜切除による亜全鼓膜再生,4.中耳根本術後など一部鼓膜癒着例や残存鼓膜が少ない場合に対する,結合組織脱落防止目的の残存鼓膜への結合組織貫通による固定法,5.耳管機能不全例に対する,鼓室換気用ピンホール穿孔残存目的の鼓膜穿孔縮小術などである.今回その一部を動画を交えて紹介する.

2016/06/23 9:00〜9:50 第2会場

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